台湾

航海日誌 Day 3【台湾の住まい】理想の拠点を見つけるための「物件タイプ」と2拠点生活の注意点

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読了目安:約5分

前回の振り返り:
前回(Day 2)は、台湾での航路を安全に進むための「治安と用心深さ」について考えました。「日本と同じ」という霧を払い、先人たちの実体験というコンパスを頼りに、交通マナーや警戒エリアの見極め方など、家族を守るための防犯航海術を整理しました。

プロローグ(Day 0)で描いた「理想の拠点」を具体化するために、避けて通れないのが家探しです。台湾での生活の質、そして「家族の安心」を左右するのは、駅からの距離以上に**「物件タイプとの相性」**にあると考えます。

今回は、台湾で一般的ないくつかの部屋タイプと注意点を整理します。


1. 物件タイプ別の特徴と航海のヒント

台湾の賃貸物件は、大家さんが「家具付き」で貸し出しているケースが大半です。これは便利である反面、大家さんの個性的すぎるセンスと折り合いをつけなければならない、という一面もあります。私の場合は、寝室の壁紙が強烈なゼブラ柄だったこともあります。

以下、家賃の手頃な順に4つのタイプを見ていきましょう。

【1】雅房(Yǎ fáng:ヤーファン)

キッチンやシャワー・トイレを住人とシェアする「ルームシェア」形式です。

  • 現場のリアル: 語学留学中の友人は「寝るだけだから」と割り切って住んでいましたが、ベッドと机を置いたら足の踏み場もないほどの狭さに、初めて見た時は衝撃を受けました。

【2】分租套房(Fēnzū tàofáng:フェンズータオファン)

大きなマンションの一室を改装し、複数の個室(シャワー・トイレ付)に仕切ったタイプです。

  • 航海の知恵: キッチンがない物件がほとんどですが、友人は電子調理器を駆使して料理を振る舞ってくれました。知らない人との共同生活はリスクもありますが、信頼できる仲間数名で一軒を借り切れば、不在時の「相互見守り」が可能な安心の拠点に変わります。
  • 安全面の考察: 通路が狭く、奥の部屋だと避難経路の確保が難しい物件も多いので、事前のチェックが欠かせません。

【3】獨立套房(Dúlì tàofáng:ドゥーリータオファン)

日本のワンルームに近い自立した形式です。私が台湾赴任時に最初に選んだのもこのタイプでした。

  • 近年のスタンダード: 最近はオートロック、24時間ゴミ捨て、管理人在駐など「安心・便利」な物件が人気です。広めの物件なら、夫婦二人での2拠点生活にも十分対応可能です。

【4】整層住家(Zhěngcéng zhùjiā:ジェンツェンジュージア)

日本のファミリーマンションや一軒家そのもののスタイルです。私の赴任後半はこのタイプでしたが、広いベランダや複数の水回りがあり、非常に快適でした。

  • 航海の知恵: 家族やペット連れには最適ですが、このタイプだけは「家具・家電なし」の物件も多いため、初期装備の確認が必要です。

2. 【番外編】頂樓加蓋(Dǐnglóu jiāgài:ディンロウジアガイ)

古めのマンションの屋上に増築された、台湾特有の「屋根裏部屋」的な物件です。

  • リアルな声: 「広い専用ベランダが最高」という魅力の裏で、「夏はサウナ、雨音は爆音」という切実な課題も。エレベーターがなく階段で登り切る必要があるため、ガスや排水の設備確認は必須です。
  • 最近の状況: 違法建築への規制が強化されており、強制撤去のリスクなど法的な確認がより重要になっています。

3. 2拠点生活を成功させる秘訣:物理的な「壁」より強固な「人の和」

理想の拠点(停泊地)を確保することは、デュアルライフの質を左右する最も重要なミッションです。しかし、東京23区での整ったマンション探しと同じ感覚で臨むと、思わぬ落とし穴に遭遇します。

  • 「生活の余白」を見極める: 2拠点生活では、その場所で「何をするか」だけでなく「不在時にどう守るか」という視点が不可欠です。独立套房(ワンルーム)の利便性を取るのか、それとも信頼できる仲間と分租套房(シェア物件)を借りて、お互いの不在時を見守り合う「相互扶助」の形を取るのか。物理的な広さ以上に、自分たちのライフスタイルに合った「管理の形」を選び取ることが成功への最短ルートです。
  • 「スペック外」のリアルを疑う: 台湾の物件は、写真や図面だけでは読み取れない個性が強すぎます。ゼブラ柄の壁紙のような笑い話で済むものなら良いですが、屋上物件(頂樓加蓋)の暑さや、避難経路の不備は命に関わります。デジタルの情報を鵜呑みにせず、現地の友人の目や自分の五感で、一歩ずつ波を確かめる慎重さが求められます。
  • 「最強のセキュリティ」を構築する: 慣れない土地で、しかも不在期間が生じる生活において、最も信頼できる防波堤は、最新のスマートロックではなく**「合鍵を託せる友人」**の存在です。急な水漏れ、体調不良、あるいは不在時の郵便物の管理。そんな時、互いに手を差し伸べ合えるネットワークを現地に築いておくことこそが、どんな高級物件に住むよりも贅沢で確かな「安心」をもたらしてくれます。

リラックスできる住環境は、移住生活という長い航海における唯一の安息地。知恵と人脈をコンパスに、自分たちだけの特別な停泊地を見つけ出しましょう。


大切にしたい普遍的な教え

「若者は聞くことすべてを信じるが、賢い人は一歩ごとに考えて確かめる」

Wittyなひとことアドバイス

「魅力的なキャッチコピーは、時として航路を誤らせるサイレンの歌声。良き航海士は、流れてくる噂をすべて信じるのではなく、一歩ずつ波を確かめることで、目的地へと辿り着く」

次回の航海日誌: Day 4「【台湾の家探し】日本にいながら理想の『停泊地』をリサーチする実践ステップ」

自分たちに合う「物件タイプ」が見えてきたら、次はいよいよ実践です。スピード感の増す台湾の賃貸市場において、日本に居ながらにしてどうやって理想の「物件」をリサーチし、確保するのか。

次回は、私が実際に活用した最強のリサーチアプリ「591」の攻略法から、ネットの「写真加工という名の霧」を見破るための、現地の友人と連携した「内見代行」の極意まで。日本からでも着実に「物件情報」を読み解くための具体的なリサーチ術を紐解きます。

ABOUT ME
人生折り返しのノマドワーカー
人生折り返しのノマドワーカー
「航海日誌」執筆者
首都圏ベイエリア出身、東京23区在住。小さな商社の管理職としてリモートワークを実践中。 国内・海外の2拠点生活を模索しています。
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