航海日誌Day1【台湾移住】北部の気候は「湿度」が命取り?後悔しないための防寒・台風対策ガイド
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プロローグ(Day 0)で記した通り、私のコンパスが最初に指し示したエリアは、かつて勤務経験もあり、今も信頼できる仲間たちが暮らす「台湾」でした 。現地に住む友人たちから届く「今のリアル」な声を基に、まずは移住の大きなハードルとなる「気候」について深掘りします 。
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「台湾=南国」というイメージだけで移住すると、最初の冬に体調を崩したり、大切な持ち物をカビで失ったりすることがあります 。特に台北を含む北部エリアは、独特の「湿冷」と「台風リスク」への備えが必須です 。この記事では、現地在住者の視点から、移住前に知っておくべき**「気候リスク管理」**を解説します 。
1. 【冬の深掘り】日本より寒い?「湿冷(しつれい)」の正体
台湾北部の冬(12月〜2月)は、気温以上に過酷です 。その理由は、単なる気温の低さではなく「湿度」にあります 。
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なぜ「体感温度」がこれほど低いのか
- 湿気が熱を奪う: 湿度が高いと、空気中の水分が体の熱を奪いやすくなります 。15℃あっても、日本の10℃以下に感じるのが「湿冷」です 。
- 暖房がない住宅構造: 台湾の家は「石造り・タイル床」が主流です 。暖房器具がなく、外より家の中が寒いという逆転現象が起こります 。
【体験談】私が台湾の「湿気」に泣いた日
移住当初、私は「除湿機なんてエアコンの機能で十分だろう」と高を括っていましたが、それが大きな間違いでした 。しばらくクローゼットに入れていたお気に入りの本革の財布とバッグには、真っ白なカビが生えてしまいました 。さらに、湿度が高すぎて洗濯物が1日で乾かず、仕事に着ていくワイシャツが全滅するという追い打ちも受けました 。
友人からのアドバイスをまとめると、「大は小を兼ねる、ではなく『大でなければ太刀打ちできない』。実際の畳数よりも一回りパワーの強いモデルを選ぶのが、台湾移住者の鉄則」ということでした。
この経験やアドバイスから、以下の条件を満たす強力な除湿機の購入を決意しました。
- 選んだ条件: 1日10L以上の除湿能力、大型タンク、信頼と実績があるメーカー、比較的静か、部屋の広さに対してワンランク上の除湿能力
2. 【台風の深掘り】台湾の台風は「レベル」が違う
台湾は台風の通り道であり、夏から秋(7月〜10月)にかけて強力な勢力で上陸します 。
「停班停課(台風休み)」という特別ルール
台湾には、台風接近時に行政が仕事や学校を休みにする「台風休暇」制度があります 。
- 外出は厳禁: 看板やバイクが飛んでくることも珍しくありません 。発表があったら、絶対に外出しないでください 。
- 食料の備蓄: 発表が出るとスーパーから食料が消えるため、カップ麺や飲料水の「2日分」のストックは常に持っておきましょう 。
3. 東京 vs 台北:気候データの比較
日本人が最も馴染みのある東京と、台北のデータを比較しました 。これを見ると、なぜ対策が違うのかが一目でわかります 。
| 項目(年間平均) | 東京都 | 台北市 |
| 平均最高気温 | 約20.0℃ | 約26.5℃ |
| 平均最低気温 | 約11.5℃ | 約19.5℃ |
| 平均湿度 | 約62% | 約75〜80% |
| 晴天日数(年間) | 約120〜150日 | 約80〜90日 |
ここがポイント: 台北は東京に比べて圧倒的に湿度が高く、晴れる日が少ないのが特徴です 。特に冬場の台北は「雨天・高湿度・低気温」が重なり、東京の冬よりも不快指数が高くなる傾向にあります 。
4. 移住者が準備すべき「3種の神器」
- コンプレッサー式除湿機: 台湾生活の満足度を左右する最大の投資です 。
- 晴雨兼用折りたたみ傘: スコールと強烈な紫外線の両方を防げる丈夫なものが必要です 。
- モバイルバッテリー: 台風による停電時、情報の命綱であるスマホを守ります 。
5. 実は、夏はそこまで辛くない 「南国の夏」と聞くと、さぞかし過酷だろうと想像されるかもしれません。しかし、実際に現地で過ごしてみると、そこには暑さと共生するための知恵と工夫が詰まっていました。
- 「恐ろしいほど」効いているエアコン 一歩建物に入れば、お店も公共交通機関も、驚くほどしっかりとエアコンが効いています。移動中や買い物中に「暑さで体力を削られる」ことが日本より少ないのは、嬉しい誤算でした。
- 歩行者を守る「騎楼(チーロウ)」 台湾の街を歩くと、建物の一階部分がアーケード状に設計された「騎楼(または亭仔脚)」と呼ばれる独自の建築様式が目に飛び込んできます。この屋根付きの通路のおかげで、強い日差しや突然の雨に晒されることなく移動できます。直射日光を避けながら風を感じて歩くスタイルは、台湾の都市風景を象徴する、非常に合理的な生活の知恵です。
- 陽射しの恵み、愛文芒果(アーウィンマンゴー) そして何より、夏の暑さを「楽しみ」に変えてくれるのが、太陽の恵みを凝縮したフルーツたちです。なかでも最高級品種の「愛文芒果」は格別。リンゴのような鮮やかな赤、濃厚な甘みと爽やかな酸味、そしてとろけるような果肉……。5月から7月にかけて旬を迎えるこの味を知ると、「台湾の夏は暑くて大変だけど、愛文芒果があるからすべて許せる」という友人たちの言葉に、深く頷かざるを得ません。
2拠点生活を成功させる秘訣:気候の荒波を「知恵」で乗りこなす
台湾北部での2拠点生活を軌道に乗せるための鍵は、日本の常識を一度リセットし、現地の理にかなった備えを整えることにあります。
- 「除湿」への投資を惜しまない: 不在期間がある2拠点生活では、湿度は最大の敵です。「大は小を兼ねる」の精神で強力な除湿機を導入することが、大切な資産(家財や健康)を守るための最強の防波堤となります。
- 現地の「生活リズム」に同期する: 台風休暇(停班停課)のような現地独自のルールや、騎楼(チーロウ)を活用した歩き方を知ることは、単なる安全確保以上の意味を持ちます。それは、その土地の呼吸に合わせ、ストレスなく「停泊」するための作法なのです。
- 旬を愛でる心の余裕: 厳しい気候の裏側には、愛文芒果(マンゴー)に代表されるような、その時期・その場所でしか味わえない最高の恵みがあります。不便ささえも、季節の移ろいを楽しむ「句読点」に変えてしまう。そのマインドセットこそが、2拠点生活を豊かにする真のコンパスとなります。
しっかりとした準備さえあれば、台湾北部の気候は決して恐れるものではありません。むしろ、東京23区の乾いた冬とは違う、潤いと活気に満ちた新しい日常を私たちに与えてくれるでしょう。
大切にしたい普遍的な教え:
「賢明な人は危険を察知して避けるが,愚か者は気にかけずに進んで後悔する」 。
Wittyなひとことアドバイス:
「最高のGPSも、地元の漁師の『明日は時化るぞ』という一言には敵わない。失敗の数を減らすコツは、自分の頭だけで考えないことです。」
次回の航海日誌:Day 2「台湾の治安と『用心深さ』 のバランス」。気候という「自然の厳しさ」への備えを整えたら、次に考えるべきは「社会の中での安全」です。 台湾は世界トップクラスに治安が良いと言われますが、実際に暮らすとなれば日本とは異なる独自のルールや、文字通りの「爆走」する日常という落とし穴が存在します。

