台湾

航海日誌Day2台湾の治安と「用心深さ」のバランス

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読了目安:約5分

前回(Day 1)では、台湾北部の「気候」という名の荒波を乗りこなすための知恵を整理しました。 気温以上に身体を冷やす**「湿冷」の正体や、看板が飛ぶほどの台風リスク**、そして何より「除湿機はワンランク上のパワーを選べ」という先人たちの切実な教え。一方で、厳しい暑さを「騎楼(チーロウ)」や「愛文芒果(マンゴー)」という楽しみで相殺する、台湾ならではの合理的なライフスタイルも垣間見えました。 「備えあれば憂いなし」。自然環境という外側の守りを固めたなら、次は内側の安全、つまり**「治安と防犯」**という航路に目を向けてみましょう。

安全な航路を選ぶために——観光ガイドには載らない「暮らしのリアル」

台湾での2拠点生活を模索する中で、気候と同じくらい慎重に検討しているのが「治安」です。

台湾は世界でも有数の安全な場所として知られていますが、理想の拠点を探す航海において、楽観主義だけで進むのはあまりに無謀。実際に現地で生活を営む友人たちに話を聴くと、観光ガイドの華やかなページには載っていない、暮らす上での注意点が見えてきました。

台湾の人々は驚くほど親切で、街は温かな活気に満ちています。しかし、その光に目を奪われて「日本と同じ感覚」という霧の中に迷い込んではいけません。

先人たちの実体験やアドバイスを受けて、私たちが家族と共に身につけるべき、安全な航路の選び方を整理しました。

1. 拠点の選定:地図には載らない「境界線」

家探しにおいて、駅近などの利便性以上に重要なのは、そのエリアが持つ**「隠れた顔」**を知ることです。

かつて私が勤務していた際、利便性と家賃だけで選んだ部屋がありました。一見、中心部へのアクセスも良く理想的に見えましたが、実は徒歩10分圏内に有名な歓楽街が控えており、現地の人から見れば「あえてそこを選ぶのか」というエリアだったのです。

管理職としての分析眼とは別の、**「生活者としての防犯意識」**が試されます。下見の際は、その土地の裏まで知る友人に同航してもらうのが、最も確実な防衛策です。

2. 移動の鉄則:公共交通という安全な航路

日本では日常的なタクシーも、こちらでは「一人、特に夜間や女性は避けるべき」という知恵を借りました。

台湾の都市圏は地下鉄(MRT)やバス、レンタルサイクルが非常に発達しています。**「公共の目に守られた移動手段」**を優先するというシンプルな選択が、リスクという荒波を遠ざける基本です。

3. 「夜道」はやっぱりどこでも危険

台湾の夜は明るく開放的ですが、油断は禁物です。 「どこの国でも悪い人はいる」という言葉を胸に、スマホを常に手に届く場所に置き、**「明るく人通りの多いメインストリート」**という航路から外れない習慣が、家族を守る盾となります。

4. 活気の中に潜む「見えない刃」

夜市などの観光地は、活気の裏で軽犯罪の格好の狩場にもなり得ます。 「リュックをナイフで切られた」という友人の体験談や、正気を失った不審者の目撃談を聴くと、身が引き締まる思いです。悪意を持った者は、常に**「隙を見せたカモ」**を狙っています。

5. 交通マナー・交通量は東京の比ではない

最も警戒すべきは、実は犯罪よりも**「交通のあらっぽさ」**かもしれません。 台湾の車やバイクの運転は非常に鋭く、歩行者優先の意識は希薄です。

特にバスは「爆走」という表現が似合います。友人は、急発進の弾みで車内で転倒し、頭を打って数ヶ月入院するという痛ましい経験をしました。 「乗り降りするその瞬間まで、必ずどこかに掴まる」。これが、身を守るための絶対的なルールです。

6. 立ち入るべきではないエリアを知ろう

大都市には、華やかな通りの一本裏に、性犯罪や薬物問題が潜む「暗礁」が存在します。 近道に見えても、裏道には入らない。現地のコミュニティに根を張る友人の「あそこには近づくな」という忠告を、羅針盤の針のように素直に受け入れる謙虚さが、航海の明暗を分けます。

7. 人間関係:節度という名のアンカー(錨)

台湾の人は人懐っこく、すぐに連絡先を交換しようと言ってくれます。 友人の輪を広げることは移住の成功に不可欠ですが、「用心深さ」という名のアンカーを下ろしておくことも忘れてはいけません。

節度ある距離感を保ち、信頼の積み重ねに応じて少しずつこちらの情報を開示する。このバランス感覚こそが、結果として自分と家族を一番に守ることに繋がるのです。


2拠点生活を成功させる秘訣:安全な航路を維持する「防犯航海術」

台湾での2拠点生活を盤石なものにするためには、世界トップクラスの治安という数字に甘んじることなく、現地特有の「リスクの形」を正しく認識し、適応する力が必要です。

  • エリアの「裏の顔」を読み解く: 東京23区の利便性に慣れていると、つい駅からの距離や家賃だけで判断しがちです。しかし、2拠点生活においては「不在にする時間」があることも忘れてはいけません。現地の知人のネットワークを駆使し、地図には載らない境界線(治安の良し悪し)を見極めることが、最大のリスクヘッジとなります。
  • 「移動」の常識をアップデートする: 犯罪への警戒はもちろんですが、台湾では「交通」という名の荒波への備えが不可欠です。東京の歩行者優先に慣れた感覚は、一度リセットしてください。「バスでは必ず掴まる」「バイクの隙間を縫うように歩かない」といった現地の作法を徹底することが、自分と家族を守る盾となります。
  • 「輪を広げたい」と「慎重さ」の共存: 台湾の人々の温かさに甘えるのは、この地の生活の醍醐味です。しかし、同時に「自分は外国人」という謙虚な用心深さをアンカー(錨)として下ろしておくこと。このバランス感覚こそが、予期せぬトラブルから身を遠ざける唯一のコンパスです。

こうした知恵を携えることで、台湾は「たまに訪れる観光地」から、家族が安心して「帰ってこられる拠点」へと変わっていきます。

大切にしたい普遍的な教え: 「蛇のように用心深く,ハトのように純真であることを示しなさい」。

Wittyなひとことアドバイス: 「最新の防犯カメラより、現地の友人の『あそこはやめとけ』。本当の安全は、ガジェットではなく信頼できるネットワークから生まれます。」

次回の航海日誌: Day 3「【台湾の住まい】理想の拠点を見つけるための『物件タイプ』と2拠点生活の注意点」

安全な航路(エリア)を見定め、自分たちの身を守る作法を身につけたら、次はいよいよ具体的な「住まい」選びに入ります。 台湾の賃貸物件は、日本とは全く異なる独特のスタイル。東京23区の「標準的なマンション」という常識を一度脇に置いて、現地のリアルを覗いてみましょう。

寝室の壁紙が強烈な「ゼブラ柄」だった私の実体験から、夏はサウナ状態になる(!?)という台湾特有の屋上物件の真実まで。不在時の見守りを含めた、2拠点生活のための「理想の停泊地」の選び方を整理します。

ABOUT ME
人生折り返しのノマドワーカー
人生折り返しのノマドワーカー
「航海日誌」執筆者
首都圏ベイエリア出身、東京23区在住。小さな商社の管理職としてリモートワークを実践中。 国内・海外の2拠点生活を模索しています。
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