航海日誌 Day 4【台湾の家探し】日本にいながら理想の「停泊地」をリサーチする実践ステップ
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前回の振り返り: 前回(Day 3)は、台湾での拠点選びの基礎となる「物件タイプ」を整理しました。 ミニマムな「雅房」から、プライバシーを確保できる「独立套房」、そして家族向けの「整層住家」まで、それぞれのメリットと潜むリスク(隠れた屋上物件のリスクなど)を確認しました。自分たちのライフスタイルに合った「船のサイズ(間取り)」を見極めることの大切さを実感していただけたかと思います。
自分たちに合うタイプが見えてきたら、次はいよいよ実践。日本にいながらにして、どうやって遠く離れた異国の地に「理想の停泊地」を見つけるのか。その具体的なリサーチ術を紐解きます。
プロローグ(Day 0)で触れた通り、私たちの航海において「現場のリアル」は不可欠です。しかし、現地に飛び込む前に、日本からでも「海図(物件情報)」を読み解くことは十分に可能です。
2026年現在、台湾の賃貸市場はIT企業の進出や物価高の影響で、以前よりもスピード勝負になっています。日本にいながら着実に準備を進めるための3つのルートをご紹介します。
1. 信頼という名の最強ルート:知人のツテで探す
これが最も安心で、かつ「2拠点生活」において重要なルートです。 現地のコミュニティや友人のネットワークを通じて紹介してもらう物件は、家賃が良心的なだけでなく、大家さんとの信頼関係が最初から築かれています。 私の経験では、大家さんが親日家で、日本人だと分かった途端に非常に親切にしていただいたこともありました。特に、日本と台湾を行き来し、家を空ける期間が生じる私たちのスタイルにおいて、「不在時も安心できる大家さん」との繋がりは、トラブルという名の「時化(しけ)」を防ぐ最強の防波堤になります。
2. 足で稼ぐクラシカルルート:掲示板と張り紙
街歩きをしていると、マンションの1階や掲示板に「租」という赤い張り紙を見かけることがあります。これは「貸します」という意味です。 直接大家さんに電話して交渉する、古き良き現場主義。これには相応の語学力が必要ですが、ネットに載る前の「お宝物件」に出会えることもあります。日本にいる間は、現地の友人にビデオ通話などで中継してもらい「代わりの目」になってもらうといった連携が、成功への鍵となります。
3. デジタルの海を渡る:最強アプリ「591」の攻略法
私が台湾赴任中に今の家を見つけたのも、この**「591」**というアプリでした。台湾最大級のポータルサイトで、VR内見や詳細なフィルタリング機能が非常に充実しています。日本に居ながらにして、現地の物件情報を手に取るように閲覧できる、現代の航海士には欠かせないツールです。
【591攻略のポイント】
- 地域設定: 市区町村だけでなく、地下鉄(MRT)の駅名からも検索可能。
- 「類型」の選択: Day 3で学んだ物件タイプ(独立套房など)にチェックを入れます。
- 「更多(詳細設定)」の活用: エレベーターの有無(電梯大樓 vs 公寓)や、24時間ゴミ出しの可否などを絞り込めます。
連絡の多くはLINEで行われます。中には日本語対応可能な仲介業者もいますので、恐れずにコンタクトを取ってみる「勇気」も、新しい海原へ漕ぎ出すためには必要です。
※注意点:条件の良い人気物件は掲載から数時間で「成約(成交)」となることも。マメなチェックと、迷わず連絡する決断力が、理想の拠点への接岸を左右します。
2拠点生活を成功させる秘訣:内見代行と信頼のネットワーク
2拠点生活において、日本にいながら物件を決める際の生命線となるのは、現地の友人に**「内見の代行」**を依頼することです。デジタルの海図(591のデータ)がどんなに精緻でも、最後は「人の目と鼻」による確認に勝るものはありません。
1. 画面越しでは伝わらない「五感」の確認 どんなに写真が美しく加工されていても、ビデオ通話のレンズ越しでは「排水の独特な匂い」や、建物全体に染み付いた「湿気の重さ」までは伝わりません。また、静止画ではわからない「壁の薄さ」や「隣人の生活音」も、現地に立つ友人の耳だけがキャッチできる重要な情報です。
2. 治安の「死角」を見抜くプロの目 [航海日誌 Day 2]で触れた通り、台湾の治安は非常に良好ですが、一見理想的に見えるエリアのすぐ隣に「警戒すべき裏通り」が潜んでいることもあります。 日本人の清潔感や防犯への感度を共有している友人に、「自分の家族を安心して住まわせられるか」という視点で周囲を歩いてもらう。この**「生活者としての防犯意識」**によるフィルターこそが、夜道の暗さやバイクの騒音といった、データ化されないリスクを未然に防いでくれます。
3. 「ここなら大丈夫」という確信のアンカー 信頼できる友人の「ここならあなたが快適に過ごせるイメージが湧くよ」という一言は、どんな最新の検索アルゴリズムよりも正確な羅針盤となります。2拠点生活という長い航海において、不在時も「あそこなら安心だ」と思える拠点を手に入れるためには、この**「信頼のネットワーク」**を惜しみなく活用することが、接岸への最短ルートなのです
大切にしたい普遍的な教え
「入念な準備と計画こそが確かな成功を引き寄せ、焦りから生まれる即断は予想外の損失を招く。」
Wittyなひとことアドバイス
「ネットの写真は、時として『加工』という名の霧に包まれています。良き航海士は、ビデオ通話という名の望遠鏡を手に、座礁のリスクを最小限に抑えるのです。」
次回の航海日誌: Day 5「【台湾の家探し】契約直前にチェックすべき『隠れた岩礁』と失敗しないための注意点」
情報の海から候補を絞り込み、信頼できる友人の「ここなら大丈夫」という力強い言葉を得られたなら、いよいよ船をその港に寄せる「契約」の時が近づいています。 しかし、目的地が目の前に見えた時こそ、最も注意深く舵を握らねばなりません。海面下には、「隠れた岩礁」が潜んでいるからです。
次回は、電気代から、安眠を妨げるエアコン、さらには台湾最大の行事「春節」という暗礁になりかねない障害を回避するスケジュール戦略まで。2拠点生活をスタート初日から「浸水」させないための、最終チェックリストを整理します。

