台湾

航海日誌 Day 5【台湾の家探し】契約直前にチェックすべき「隠れた岩礁」と失敗しないための注意点

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読了目安:約5分

前回の振り返り: 前回(Day 4)は、日本にいながら理想の停泊地を探し出す「リサーチ術」を紐解きました。最強アプリ「591」の攻略法から、現地の友人を「代わりの目」として活用する内見代行の重要性まで、デジタルの海図と信頼のネットワークを駆使した準備についてお伝えしました。


情報の海から候補を絞り込み、現地の友人の「ここなら大丈夫」という確信を得られたなら、いよいよ「契約」の時です。

しかし、目的地が目前の時こそ、最も慎重に舵を握らねばなりません。海面下には、日本のシステマチックな賃貸契約では想像もつかない「隠れた岩礁」が潜んでいるからです。

台湾の賃貸には、独自の商習慣や家計を直撃するインフラの計算ルールが存在します。入居初日から「トラブル」に見舞われないために。契約書にサインする前に、私の実体験と友人たちの助言から導き出した、**「2拠点生活者のための最終チェックリスト」**を整理しました。

1. 契約の基本:初期費用の「デリバリー」

台湾の賃貸契約では、**「押金(敷金)2ヶ月分 + 最初の1ヶ月の家賃」**の計3ヶ月分を先払いするのが一般的です。敷金は退去時に返金されるのが基本ですが、清掃費などの名目で差し引かれる条件が含まれていることもあります。明文化されていない約束事は、必ず契約書に追記してもらうよう交渉しましょう。

また、2拠点生活者が直面する大きな課題は、このまとまった資金をどう届けるかという「デリバリー航路」の確保です。

  • 送金の選択肢: 2026年現在はWiseなどの海外送金やATMキャッシングが主流ですが、稀に「現金主義」の大家さんも存在します。
  • 現金の持ち込み制限: 日本から100万円相当額を超える現金を申告なしで持ち出すと罰則の対象となります。また、台湾入国時も**「台湾元10万元、外貨US$10,000相当」**を超える場合は税関への申告が必須です。未申告の超過分は没収されるリスクがあるため、資金移動のシミュレーションは入念に行いましょう。

2. 電気代の計算方法:最も警戒すべき「岩礁」

2026年現在、台湾のエネルギー価格調整により、電気代の支払いルールは家計に直結する重要なポイントです。

特に詳細欄に「一度(1kWh)〇元」と固定額が記載されている物件には注意が必要です。大家さんが「1度 6〜7元」といった手数料を上乗せしている場合、夏場のエアコン使用で請求額が跳ね上がります。

  • 航海の知恵: 可能であれば、電力会社の請求書通りに支払う**「用多少付多少(実費精算)」**を条件に探しましょう。
  • 現場のリアル: 私の経験ですが、夏の暑さに耐えかねて3部屋でエアコンを稼働させていたところ、大家さんから「漏電を心配するレベルの請求が来た」と連絡があったことがあります。日本と同じ快適さを求めると、驚くような金額として跳ね返ってくるのが台湾の夏です。

3. 船内設備のチェックリスト:静かな航海のために

台湾の物件は「家具・家電付き」が魅力ですが、その品質は千差万別です。

  • 冷蔵庫: 一体型の小型タイプは冷凍機能が弱く、アイスが溶けるという「大事故」を招きます。自炊派なら「冷凍・冷蔵が分かれた2ドアタイプ」が必須です。
  • エアコン: 窓枠はめ込みの「ウインドウ型」は騒音が激しく、電力効率も劣ります。以前、両方のタイプがある家に住んでいた際、ウインドウ型の部屋では熟睡できず、わざわざ別の部屋に敷布団を運んで避難したこともありました。
  • 水回りの換気: 湿度の高い台湾では、バスルームの換気扇や窓の有無がカビ対策の生命線です。特に主寝室にシャワーがあるタイプなら、Day 1で触れた「除湿機」との併用が不可欠です。

4. 大家さんとの相性

台湾の賃貸は個人間契約が主流であり、トラブル時の対応は大家さんの人格に左右されます。

かつて私が住んでいた家で、分電盤の故障による停電が起きた際、大家さんから「日本の感覚で使いすぎるお前が悪い」と修理代を請求されたことがありました。信頼できる友人が間に入って交渉してくれましたが、その恐怖から数ヶ月で引っ越しを決意しました。 次に紹介された大家さんは非常に親切で、ガス機器の故障時も「古い設備で苦労させて申し訳ない」とすぐに交換してくれました。不慣れな地でのトラブルにおいて、**「信頼できる大家さん」**に出会えるかどうかは、何物にも代えがたい幸運です。


2拠点生活を成功させる秘訣:春節(旧正月)を避ける航路計画

2拠点生活のスタートを切る時期として、「春節(旧正月)」前後は避けるのが賢明です。 台湾において春節は一年で最も重要な祝祭であり、日本のお正月以上に「家族との団らん」が絶対視される時期です。

  • 不動産市場の停滞: 連休中は不動産屋も大家さんも帰省し、物件の更新や内見は完全にストップします。
  • 物流とサービスの休止: 引越し業者の手配が困難になるだけでなく、個人商店やローカル食堂も一斉に休業します。
  • 凄まじい帰省ラッシュ: 特に「除夕(大晦日)」前後は、台北から地方へ向かう南下便の交通機関(高鉄・台鉄)が凄まじい混雑となり、移動そのものが困難な「時化(しけ)」の状態になります。

もし2月に拠点を構える予定なら、この9連休が終わるのを待ってから動き出すか、あるいは連休前に余裕を持って契約を済ませてしまうか。暦を読んだ航海計画こそが、無駄な滞在費(仮住まい)という名の「浸水」を防ぎ、穏やかな入居(接岸)を実現する鍵となります。


大切にしたい普遍的な教え

「ごく小さな事に真摯に取り組む姿勢に、その人の本質が表れる。」

Wittyなひとことアドバイス

「契約の際、契約書と大家さんの笑顔の裏にある誠実さと、エアコンが発する『唸り声』に耳を澄ませてください。小さな違和感を見逃さないことが、快適な停泊への第一歩です。」


次回の航海日誌: 「【台湾の住まい】台湾と日本のアパート暮らし、ここが違う!驚きの『6つの相違点』」

無事に契約を済ませ、鍵を受け取ったらいよいよ新生活の始まりです。しかし、異国の地での暮らしは、玄関を一歩入った瞬間から驚きの連続かもしれません。 「玄関の段差がない?」「お湯に浸かりたい時はどうする?」「ゴミ捨ては音楽を追いかける?」 日本のアパート暮らしの常識を一度リセットし、台湾ならではの「生活の作法」を楽しむための6つの相違点をお伝えします。2拠点生活をスマートに、そしてストレスフリーに軌道に乗せるためのヒントが満載です。

ABOUT ME
人生折り返しのノマドワーカー
人生折り返しのノマドワーカー
「航海日誌」執筆者
首都圏ベイエリア出身、東京23区在住。小さな商社の管理職としてリモートワークを実践中。 国内・海外の2拠点生活を模索しています。
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