番外航路 #01「3度目の台湾旅行におすすめ!移住者が見つけた「台湾の素顔」に出会う場所」
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プロローグ: これまでの「航海日誌」では、台湾での生活を軌道に乗せるための実務的な模索をお伝えしてきましたが、今回は少し趣向を変えて。 この地に腰を据えて見えてきた、ガイドブックの華やかな1ページには載ることのない、けれどたまらなく愛おしい「台湾の素顔」をご紹介します。
「一度目は九份や夜市を楽しんだ。二度目は少し足を延ばして地方へ行った。さて、三度目はどこへ行こう?」
そんな3度目の台湾旅行を計画するリピーターの方へ向けて、私自身何度も通い詰めたお気に入りの場所をご紹介します。
さあ、いつもの航路を少し外れて、地元の人々に長く愛されてきたディープな台湾を探しに行きましょう。
「ガイドブックを閉じて、現地の人の背中を追いかけてみませんか?」
寄港地 01:景美豆花(Jingmei St)
「大家さんに教わった、夜市の片隅で灯る心の拠り所」 ここはガイドブックに載る華やかなスイーツ店ではありません。大家さんに「本当に美味しい豆花を食べたいならここだよ」と連れられて以来、私の定番になりました。仕事で少し疲れた帰り道、ここの豆花を口にすると、台北の喧騒がふっと遠のき、自分がこの街に受け入れられているような安心感に包まれます。
- アクセスのリアル: GoogleマップではMRT景美駅から細い路地を通るよう指示されますが、駅を出たら一度「羅斯福路(ルーズベルト路)」の大通りを南下して、景美夜市の入り口から入るのがおすすめ。賑わう屋台の活気を横目に辿り着くのが、一番美味しい「スパイス」になります。
寄港地 02:Cin Cin Osteria 請請義大利餐庁(慶城店)
「日本食が恋しくなった時、あえて選ぶイタリアンの安息」 台湾の日本食は意外と高価で、味も少し違う……。そんな時、私の「コンパス」が指し示すのがここです。絶妙なアルデンテのパスタと香ばしいピザは、日台の味のギャップに戸惑った心をニュートラルに戻してくれます。清潔感あふれる店内は、2拠点生活の喧騒を忘れさせてくれる貴重な休憩室です。
- アクセスのリアル: 南京復興駅の7番出口からすぐですが、常に満席の人気店。予約なしなら、開店直後を狙って「一番乗り」で接岸するのが賢明な航海術です。
寄港地 03:LOHAS VLML 誠食健康蔬食(南京復興店)
「地元の健康志向オフィスワーカー御用達のセルフバイキング」 台湾の美味しい誘惑に負け続け、胃腸が悲鳴を上げ始めたらここへ。台湾特有の「素食(ベジタリアン)」ビュッフェです。新鮮な野菜が並ぶ光景は、まさにビタミンという名の補給物資。自分で好きなものを好きなだけ選べるスタイルは、自由を愛するノマドワーカーの性にも合っています。
- 現場のリアル: 現地の人のプレートは、まるで高く積み上げられた「貨物船」のようです。異なる味付けの料理も、空いたスペースへ迷いなく、どんどん積み重ねていきます。最後にはどんな味のハーモニー(あるいは混沌)が待っているのか、想像するだけで心が躍ります。その場で食卓を囲むだけでなく、お弁当箱にぎっしりと「戦利品」を詰め込み、慣れた手つきで帰路のバイクにまたがる。そんな逞しくも合理的な暮らしの風景こそ、台湾の日常という海原の真骨頂と言えるかもしれません。
寄港地 04:小胖刈包(公館)
「台湾式バーガーでおなかも心の満たされる」近くの大学に通っていた友人からここを進められ、常連になりました。トロトロに煮込まれた角煮を挟んだ「刈包(台湾式バーガー)」を手に、2階の窓際席へ。眼下を通る人々を眺めながら、ピーナッツ粉の甘みと高菜の酸味を味わう時間は、台北生活における最高のリラックスタイムです。
寄港地 05:今大魯肉飯(三重)
「わざわざ川を越える価値がある、掻き込みたくなる魯肉飯」 台北市から淡水河を越えて三重区へ。観光ルートからは外れた、いわば「未知の海域」にその店はあります。しかし、ここの魯肉飯はまさに別格。とろけるような脂の甘みを一口頬張れば、遠征の疲れなど一瞬で吹き飛びます。エネルギーをチャージしたら、中心部では味わえないローカルな街に元気に繰り出してみましょう。
アクセスのリアル: MRT菜寮駅から徒歩10分弱。道中はかなりローカルな雰囲気ですが、人の流れについていけば、おのずと行列の絶えない店構えが見えてきます。
寄港地 06:好公道金雞園(永康街)
「背伸びしない贅沢。ミシュランも認めた老舗の日常着」 永康街といえば小籠包の超有名店がありますが、私はあえてここを選びます。1階で職人たちがせっせと包む様子を横目に2階へ。ミシュランのビブグルマンに選ばれながらも、気取らない大衆食堂の空気感が残っています。友人たちが遊びに来た時、一番「台湾らしい本物の味」を楽しんでもらえる自慢の寄港地です。
現場のリアル: 「鼎泰豊(ディンタイフォン)のそれとは、根本的に違う」。と現地 の友人が教えてくれたお店です。台北の美食の海を航行するなら、この違いを知ることは欠かせません。
鼎泰豊の小籠包が、寸分の狂いもないヒダと透き通るような薄皮を持つ「洗練された工芸品」だとしたら、金雞園のそれは、もっと無骨で温かな「庶民の活力」そのものです。 やや厚めで弾力のある皮は、肉汁という名の荒波をしっかりと受け止め、口に運べば小麦の力強い香りが広がります。
寄港地 07:博多天ぷら やまみ(博多天麩羅 山海)
「揚げたて天ぷらと明太子という名の『心の補給物資』。行列の先に待つ故郷の味」 2拠点生活を送っていると、ふとした瞬間に猛烈に日本の「白米と明太子・天ぷら」が恋しくなる夜があります。そんな時、私のコンパスが真っ先に指し示すのがここです。揚げたての天ぷらはもちろんですが、最大の目的はテーブルに鎮座する「明太子と高菜の食べ放題」。大家さんから教わった「台湾の美味しいもの」も最高ですが、自分のルーツにある味でエネルギーを満たすことも、長い航海を続けるためには必要な儀式です。
現場のリアル: 「『テンプラ』は好きか?」。台湾人の友人に聞かれ、私は日本人としてその魅力を熱弁しましたが、どうも話が噛み合いません。しばらくして、私たちは同じ言葉を使いながら、全く別の目的地を目指していることに気づきました。
友人が語っていたのは、台湾の国民的ソウルフード「甜不辣(ティンプラー)」。 漢字の読み(tian2 bu4 la4)が「てんぷら」と重なることからその名がついたと言われていますが、その実体は日本の「おでん」や「練り物」に近い、出汁の効いた優しい一皿。
一度味わえばその素朴な旨みに魅了され、地元の人々がこれほどまでに愛する理由が分かります。
寄項地 08:横浜物語(橫濱牛排)微風南京店
「『普通』が一番難しい。日本のファミレスが教えてくれる安堵感」 ここは、ただのステーキハウスではありません。サラダバーやスープバーの充実ぶり、そして何より「日本で慣れ親しんだファミレスの空気感」そのものが味わえる場所です。なじんだ空間と雰囲気というのは、何物にも代えがたい安堵感を与えてくれます。
現場のリアル:実はここでサラダバーを堪能することには、台湾ならではの特別な意味があります。
台湾の外食において「生野菜サラダ」に出会う機会は驚くほど少ないのです。現地の友人に理由を尋ねると、そこには深い文化の壁がありました。 「野菜は炒めた方が美味しいし安全」「生は農薬や衛生面が心配」「お店で頼むと高いわりに量が少ない」……。
中華圏には古くから「食べ物には熱を入れ、冷たいものは口にしな い」という養生の知恵が根付いています。彼らにとって、生野菜を食べるのは少し勇気が要ることなのかもしれません。そんな背景を知ると、瑞々しい生野菜が並ぶサラダバーの存在が、いかに貴重で贅沢かを改めて実感するのです。
大切にしたい普遍的な教え
「何を」食べるかより、「誰と」食べるか
Wittyなひとことアドバイス
「地元の店では、メニュー表の漢字の横にある『正』の字を盗み見てください。現地の人が何を注文しているか、それこそが最高の海図になります。あえて言葉を使わず、指差しと笑顔で挑む一皿。その一歩が、観光客から『生活者』への境界線を越える瞬間です。」
次回の航海日誌: Day 9「【台湾の電気事情】日本の装備はそのまま使える?『10Vの差』が分ける明暗」
次回は、日本と同じ形状でありながら実は異なる「電圧110V」について紐解きます。スマホやPCといった現代のデジタル装備から、熱を操るドライヤーやアイロンといった「アナログ家電」の扱い方まで。大切な装備を守り、安全に生活するための電気事情を整理します。

