食卓のインフレを回避する 台湾コストコ攻略と日本の会員証 | 航海日誌 Day13
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前回の振り返り
前回(Day12)では、居留証なしという高い壁を越え、台湾での銀行口座開設にこぎつけた泥臭い交渉の記録をお伝えしました。金融という「血液」が通い始めたなら、次に向き合うべきは、容赦なく目減りしていく日々の生活費の管理です。
今回は、台湾の物価高に対抗し、生活の質を支える生命線となっている「コストコ(好市多)攻略」の実態を記録します。
1. 乳製品売り場での絶句
台北の街の空気に馴染むほど、日々の買い物には工夫が必要だと痛感します。消費者物価の上昇は続いており、特にスーパーの乳製品売り場で値札を見たときは、その高さに思わず二度見してしまいました。もはや嗜好品に近いその価格帯に、異国での家計の舵取りの難しさを実感します。
そんな中、私の二拠点生活において不可欠な防衛拠点となっているのが、コストコ(好市多)です。広大な倉庫店に入り、ひんやりとした空気の中で大容量の牛乳をカートに入れる瞬間、少しだけ安堵の息が漏れます。
2. 押し寄せる値上げと決済の壁
しかし、その頼みの綱であるコストコにも、インフレの波は容赦なく押し寄せています。まもなく、台湾コストコの年会費が大幅に引き上げられることが確定し、日本と比べると無視できない金額の開きが出ることになります。
さらに、レジでの支払いにも大きな壁が潜んでいます。日本でのキャッシュレス生活に慣れた身には少し不便ですが、台湾のコストコでは特定の提携銀行のクレジットカードしか使えず、日本発行のカードは一切受け付けてくれません。
移住初期、レジでうっかり日本のカードを出してしまい、店員さんと無言で見つめ合ってしまったのは、今では笑い話です。しかし当時は、後ろに並ぶ人たちの無言の圧力を浴びながら、冷たい汗が背中を伝うのを感じました。
3. 骨の髄まで味わう生活者の実感
この波を乗り越えるための合理的な選択。それは「日本の会員証」を維持し、世界共通の権利を日本価格のまま享受することです。そして今は潔く、厚めの現金をしっかりと握りしめてレジへと向かうのが私のルーティンになりました。
買い物カゴには、並ばずに名店の味を手に入れられる「鼎泰豊」のギフト、そして私にとっての必須アイテムである2種類の日本のカレールーを入れます。
帰宅後の真の楽しみは、コストコ名物・ロティサリーチキンの解体にあります。しっとりとした肉を存分に味わった後、残った骨をじっくり火にかけて出汁を取る。そこに2種類のルーを溶かし込み、日本の味を再現するのです。
部屋いっぱいに広がるスパイスの香りと、一つの命を余さず使い切るこの泥臭い手間。これこそが、単に消費するだけの観光客を卒業し、この地に根を張る「生活者」になったことを実感させてくれる瞬間なのです。
Facts & Insight:日台コストコ・物価比較と防衛策
| 比較項目 | 日本 | 台湾 | Jeny’s Eye (管理職視点) |
| コストコ年会費 | 4,840円(税込) ※2026年時点想定 | NT$1,500 (2026年4月改定) | 会費の差額は無視できない。世界共通の権利を活かし、日本の会員証を維持するのが最も合理的な防衛策。 |
| 牛乳(1リットル) | 200〜300円台 | 500円超 | 台湾のスーパーの乳製品は嗜好品レベル。コストコでの大容量買いが家計の生命線となる。 |
| 決済対応カード | Mastercard等 | 富邦銀行の提携カードのみ | 日本のカードは一切不可。レジでの冷や汗を避けるため、事前の現金調達を徹底すること。 |
| CPI(消費者物価) | – | 1.64%上昇予測(2026年) | インフレの固定化を前提とした予算管理が必須。食材を無駄なく使い切るスキルが問われる。 |
2拠点生活を成功させる秘訣
現地のインフラを「日本側の権利」で賢く使い倒す。この小さなハックの積み重ねが、異国での心の余裕を支える資産になる。
大切にしたい普遍的な教え
与えられたものを余さずいただく知恵は、どんなに時代や物価が変わっても、私たちの生活を豊かにし続ける。
Wittyなひとことアドバイス
レジで日本のクレジットカードを出してフリーズしてしまうのは観光客だけで十分です。管理職ノマドなら、スマートに厚めの現金を差し出して「生活の達人」を気取りましょう。
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